インタビューの後編です。取り組んでいる事例を中心にお送りします。
ベンチャー企業ともコラボレーションしたい
──溶接工が多いのだとか。
山田:今、社員は全員で33名いますが、溶接工は20名です。20歳から70歳までいますが、20代、30代と若い人たちが多いのが特徴です。当社では分業制ではなく、ひとりが最初から最後まで担当するようにしています。仕事は手作業なので、一気に仕事を増やせないのが悩みどころです。
──ひとりで最初から最後まで担当するのですか?
山田:アングルのフレームを製作できる人材を育てて行かなければならないという使命があるからです。そのため、経験もない状態で入社してきた人に溶接を教えることからスタートします。
設計図を見ながら自分で組み立てていくので、一から覚えられるし、楽しそうに仕事をしています。もともとプラモデルを作るのが好きといった器用そうな人を採用しています(笑)。みんな、モノ作りが好きな人ばかりです。
──責任もあるけど、自分で完成まで面倒を見るのはモチベーション的にも良いですよね。
山田:ラインで同じものを作るのではなく、毎回、形が違います。私もなるべく変わったものを受注してきているので、面白がってくれます。
例えば、発電所の大型表示板を手掛けたことがありますが、こういう仕事が来るとみんな燃えます(笑)。
──これはかっこいいですね。
山田:他にも、特殊車両改造(ターレットトラック牽引車)も手掛けたことがあります。
──これも変わった仕事ですね。
山田:また、モニュメントも当社で作らせて頂きました。これは名古屋城に設置されました。
自社製品としてスロープも製作しています。これらは総てオーダーメイド品です。
お客様は企業がほとんどでしたが、最近では個人の方も増えてきました。ベンチャー企業からも声が掛かりますよ。
──ベンチャー企業もですか。
山田:いろんな業界の人から「こんなの作れますか?」と様々な問い合わせを頂きます。ベンチャー企業は、未来に向けていろんな可能性があると思うので、今後もお付き合いして行きたいですね。何でもいいから気軽に声を掛けてもらいたいです。どんな難しいことでも一緒になって考えたいと思っています。
──それは頼もしいですね。他にもチャレンジしたいことはありますか?
山田:先ほどいったように、当社のような製缶板金業は減少傾向にあります。そのため困っている企業は数多くいます。当社はそんな企業の受け皿になりたいと思っています。「決まったものしか作れない」のではなく、むしろ、「こんなものは無理だよね」といわれる方にやる気が出ます(笑)。
チャレンジという意味では特殊車両改造(ターレットトラック牽引車)のような「動くもの」をやってみたいですね。実際にモーターを積んで電気で動くようなもの。会社としてもそのような知識も付けて付加価値を高めて行きたいです。まだ漠然としていて具体的な考えはないですけどね。
──今後、会社をどのようにして発展させていくお考えですか?
山田:若い人たちに聞くと、「モノづくり」をやってみたい、という人が多いので、もっと工場を増やして行きたいと考えています。今の工場のキャパでは40人が限界なので、別にそこまで精度の細かくない製缶品を作れる工場とか。あと、関東の方にも進出できればと思っています。一から工場を借りて立ち上げるのではなく、すでに環境があるところと業務提携できるのが理想です。当社の技術力が上手くコラボレーションできれば面白いビジネスになると思います。
さまざまなことにチャレンジして、「マウンテックって面白い会社だね」と言ってもらえるように頑張りたいですね。
──そのなかで課題はなんでしょうか?
山田:やはり、技術継承ですね。昔から当社を支えてくれている熟練工の方も徐々に年齢が上がってきています。彼らの持っているノウハウをどのように残していくかが課題です。
──日本はモノづくりの国なので、マウンテックさんのような元気のある会社にはぜひとも頑張って欲しいですね。
山田:まだまだ、作りたいものが作れないと悩んでいる会社は多いと思います。どこにそのような会社があるのか分かりません。そのため、ホームページにも力を入れてマッチングできるようにしたいとも考えています。私は日本全国、海外にでも出かけて行けるほどフットワークは軽いので、ぜひとも声を掛けて欲しいですね。
──貴重なお話、ありがとうございました。