ここ1、2年、仕入れている鉄の材料の質が非常に悪いです。鉄板に歪が出ていたり、鬆(す)があったりするのです。
鉄には、いろいろと種類があります。うちでは、主にSPCC、SPHC、SS400などを使っています。この呼び方の違いは製造方法によるものだそうです。それぞれの意味は以下です。
SPCC…S(steel:鋼)、P(plate:板)、C(cold:冷間)、C(commercial:一般向け)
SPHC…S(〃)、P(〃)、H(hot:熱間)、C(〃)
SS400…S(〃)、S(structure:一般構造用)、400(引張り強さ:N/m㎡)
このようにJIS規格で記号が決められています。
マウンテックでは配電盤の扉などに、これまで何十年も、SPHCの酸洗材(以降、酸洗)を使用してきました。
SPHCは、熱間圧延鋼板といって熱い状態で圧延した板です。そのため表面には、酸化皮膜である通称クロカワと呼ばれるものが付着しているので、これを落とすために酸洗いした材料のことを酸洗と呼びます。
因みに、その後に冷めた状態で圧延したものがSPCC(以降、ミガキ)です。
つまり、酸洗はミガキを作る上での中間材なのです。自動車メーカーがコストの安い酸洗を利用したことに端を発し、他の業種にまで広がったようです。もともと精度を求められなかった酸洗は、そうやって広く使われていく中で徐々にお客の要望に合わせて、各社が競争を繰り返し品質を上げていきました。
そして今、そんな酸洗の質が非常に落ちています。うちに入ってくる材料のうち約3,4割くらいは使い物にならず、返品を繰り返しています。鋼材屋さん曰く、マウンテックの要求は厳しいとのことですが、以前よりも品質が落ちていることには間違いがないでしょう。
そんな鉄を作っている日本の高炉メーカーは新日鉄、JFEなどの大手数社による寡占状態。どういう理由があるにせよ品質が落ちているのは、紛れもない事実です。同じ製品が、この数年で品質を落とす。これは世界に認められた日本の品質に対する信頼を揺るがす一つの要因になることは大いに考えられることだと思います。
日本の企業は、決して成熟しきったわけではありません。成長をやめた時に老いていくように、伸び代が少しでも残っている限り、成長し続けることが必要だと思います。目先の利益に流されず、共に世界と成長し続けることが日本の信頼を守ることに繋がっていくのではないでしょうか。
高度経済成長時代の先代から受け継がれてきた気持ちを大切に、マウンテックも品質を落とすことなく、常に最高のカタチを提供し続けることが出来るように、成長し続けて行きたいと思います。
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